関西と一般的に呼ばれる地域には二府四県が在り、この物語の舞台は、その中に在る地方都市の居酒屋オタフクが舞台である。

居酒屋オタフクの主人、政則が店を始めたのは、今から四十五年前の金曜日の夕方からであった。店主の政則と妻の京子は、2人が十代の頃に出逢い、夫婦に成ると約束をした時から二人で店を持つと誓い合って、やっと夢を叶えた店であった。

オタフクの営業時間は、夕方五時から深夜一時までであった。開店当日の金曜日は、夕方五時から夜の十一時頃まで、店の中は客で一杯であった。しかし、十一時を過ぎると流石に空席が目立ち始めたのであった。

明日が仕事休みの金曜日、大吉は夜遅くまで会社に残り仕事をした。仕事が終わり会社を出た大吉は、疲れた体を引きずり帰る道の途中で、店先に飾られた華やかな花輪を見っけ、躊躇なく暖簾をくぐった。

「いらっしゃい」気持ち良い声が、大吉の疲れを吹き飛ばして呉れたのであった。カウンターに座った大吉は、店主と少し話しをするうちに、歳も近い事が分かりお互い、妙に馬が合って名前を教えあったのである。

「俺は山本正則で、女房は京子と云うんだ‼宜しくね」

 正則は自分たちの名前を言って、今後も店を贔屓にして下さい、と大吉に頭を下げたのであった。

「正則さんか、奥さんは京子さんか二人共良い名前だね。俺は福木大吉と云うんだよ、こちらこそ宜しくね」

お客の名前が福木大吉と聞いて、これは開店そうそう縁起の良い名前に、巡りあったと喜び正則は自分専用の酒を出し、大吉にサービスしたのであった。二人は、それ以来四十五年の付き合いに成り、大吉が通い始めて一年も過ぎる頃には店主政則と大吉は、政さん、大さんと呼ぶ仲に成って居たのであった

「大さんが好きな時に、奥の部屋を使って呉れて良いよ‼」

「政さん、今夜借りるよ‼」

それ以来、店の奥にある部屋は大吉と店主とその家族の専用部屋に成ったのであった。

 大吉がオタフクに通い始めて、四十年が経った頃に大吉はスポーツクラブの、仲間二人を初めてオタフクに連れて来た。一人は四十代の松田永吉(えいきち)、もう一人は二十代の竹本長吉(ちょうきち)という名前の二人であった。

 店主の正則は三人の名前の中に、それぞれ吉が入っている事に気が付き、益々縁起が良いと喜んだのであった。この日から三人は、店主と店主の家族からおみくじ三人組と、呼ばれる様に成ったのであった。その日を境に毎週金曜日の夜に成ると、仕事を終えた三人の男達が店主に提供された専用の部屋に集まり、語らい盛り上がるのであった。三人専用の部屋は、店の一番奥に在り元々は店主と店主の家族が、休憩する為の部屋であった。おみくじ三人組は金曜日の夜になると、仕事が早く終わった者からオタフクの暖簾をくぐり仲間が来るまでの間、一人で酒を吞み待つのであった

 2020年7月24日から8月9日まで開催の、東京オリンピックも残り約9ヶ月を迎えた時の事であった。IOC((国際オリンピック委員会)から突如として、マラソンと競歩の札幌開催案が発表されたのであった。J0C(日本オリンピック委員会)と東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会は、この変更案を知って居たが東京都知事も日本国民全てが、寝耳に水であり青天の霹靂であった。

 蚊帳の外に置かれた東京都知事も、IOCとJOCに強く抗議したが決定が覆る事は無かった。11月1日にはマラソンと競歩の札幌開催が、正式に決定したのであった。

「永さん、長さん、IOC会長がマラソンと競歩の変更理由を、東京の暑さから選手の健康を守るためと言って居たが、変な話しだと思わないかい。そもそも7月から8月の開催を決めたのは、I0Cだぜ可笑しいだろう。東京の近年の夏の暑さを分かって決めたくせに、今更開催まで残り9ヶ月で開催地変更は酷いぜ」

「実はな大さん、長さん、この前ドバイであった世界陸上大会で、棄権者が続出してビビったのさ‼ドバイの世界陸上大会は、9月27日から10月6日までの10日間の開催で、昼の暑さを避けるために深夜開催をしたけど、気温が30度で湿度が70%の酷暑で棄権者が続出したんだって」

「大さん、永さん、今回の開催地変更て選手の事を考えて、変更を決めたとはとても思えないよ‼IOCの自己保身だよねぇ‼」

 オリンピック誘致に成功した日本は、前回の第18回東京オリンピックと同じ10月10日に2020年東京オリンピックを、開催したいと日本国民の誰もが思った筈である。前回の東京オリンピックの時、日本政府は10年以上前からの東京の天候を調べ上げて、10月10日が一番晴れた日が多くこの日に決めたのであった。また、2019年までの55年間の10月の東京の空は安定しており、まさしくオリンピックを開催するには最高の良い季節であった。

 オリンピック大会も、回を重ねる内に何時しかクーベルタン男爵の理念から、外れる様に成ってしまった。外れる始めるのは、第23回ロサンゼルス大会からであった。この大会よりスポーツを通じての国と国との友好よりも、金儲けが優先される様に成って行くのである。これ以降のオリンピック大会は、大きな金が動く利権の場所となり大会開催の費用も大きく膨らんで行くのであった。世界中の大手放送局、特にアメリカの放送局はオリンピック大会の放送権を、手に入れる為に大金を使い独壇場であった。

 2020年の第32回東京オリンピックの、放送権はアメリカのNBCが手にした。その放映権は日本円に換算すると、1200億円の巨額に成るのであった。また、放映権をNBCが獲得した事でNBCの意向が反映されて、2020年の7月24日から8月9日までの開催に決まったのであった。アメリカのテレビ居にとって、7月と8月はアメリカ人が熱狂する、アメフトやバスケットや野球の放映が少なく、その穴埋めにオリンピック大会を放映する事で視聴率を確保して収益を上げるためであった。

「永さん、長さん、要するに、オリンピックは全てが金次第で開催地も開催日も決まる訳だ‼虚しいね~え」

「だから永さん、長さん、今や世界中の多くの人々が、その事実に気付いて来たからこそ日本を含め世界中の人々が、昔みたいにオリンピックに熱狂しなく成ったのさ‼」

  二人はその場で大きく、頷くのであった。

  日本が望む10月に、オリンピックを開催するとアメリカNBCは、アメリカ国内で大事なアメフト、バスケット、野球の放映が重なり困るのであった。オリンピックの大事な大スポンサーNBCの意向を、IOCは尊重したのであった。

  近代オリンピックの父、ピエール、ド、クーベルタン男爵の提唱した「スポーツを通して心身を向上させ、更には文化、国籍など様々な差異を超えた、友情、連帯感、フェアプレーの精神を持って理解しあう事で、平和でより良い世界の実現に貢献する」と云うオリンピックの、あるべき姿に戻るべきである‼しかし、実際には1896年の第一回オリンピックの時から、既に金の力によって汚れて居たのであった。

  第一回オリンピックは、パリで開催する筈であったがギリシャの富豪の財力による横やりで、アテネ開催に決まったのであった。第一回オリンピックから124年経つた経つた現代、ますますオリンピックに対して金の力の影響が大きく成り、オリンピックに悪い影を落として居る。長い年月は、あらゆる組織を蝕み腐らす。そろそろオリンピックの役目も終わり、廃止する時期に来ていると多くの人々が思って居ると思う‼

  今日の時代、ひとつの国で全ての競技を僅か16日間で執り行うには無理があり、開催費用の負担も大きくなって開催出来る国も大国に限られてしまう。今後はオリンピックを廃止して、多くの国で開催が出来る大会を考える時が来ている。既にある各競技事の世界選手権大会を、オリンピックの代わりにすれば良い。今ある世界選手権大会をオリンピックに変えれば、小さな国でも出来るし各種競技の開催時期をずらしたら、多くの国で開催が出来て人々の連帯感も高まるだろう。また、国や選手にも大きな負担に成らずピエール、ド、クーベルタン男爵の、理想にも近づく事にも成るのではないでしょうか。

  今スポーツ界で問題になっているドーピング違反に付いては、今後は各競技の世界選手権大会前と終了後に検査を実施すれば良い。違反した選手は、その大会の成績だけを無効にして次回の大会は国も選手も参加させれば良い。世界中の選手は大会で優勝して自分の国の国旗を掲げ、国歌を歌うことを誇りに思って居るのである。ドーピングの処分はその時の大会だけで良いと思うのです。

 次回のスポーツ2をお楽しみにしてくださいね

              

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